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Living naturally...
Japanese tea produced in the mountains

KUNITOMO FARM
Akika Kunitomo

国友農園 國友昭香

山茶を育てる。」

「ありのままで暮らす。

高知県中央部、吾川郡の旧吾北村(ごほくそん)。現在はいの町の山深い場所に国友農園はあります。日本一の水質と名高い清流仁淀川を高知市から川沿いを車で一時間半ほど上流に向けて登って行きます。きっと国友さんと一緒でなければ辿り着けない。そんな深い山の中に開けた場所、国友農園はそんなところにあります。

「お茶。」

日本のお茶はそのほとんどが「やぶきた」という改良種です。収穫がしやすいように畝だてにされ、そして挿し木です。国友農園のお茶は「山茶(やまちゃ)」高知の山の中に自然に生えていたものです。ここはもともと雑木林だったといいます。ここには一本として植えたものはありません。自然に生えていて、そして自然に増えていったと国友さんはいいます。

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お茶は「カメリア・シネンシス」椿の仲間で強い植物です。刈りこめば刈りこむほど芽がたくさん出て、木はまるいたまの形になり新芽をたくさん摘めるようになります。稲は砂漠に植えれば枯れてしまいます。サボテンも田んぼに植えれば枯れてしまいます。けれどもお茶は関東ローム層でも火山灰土でもどこでもりっぱに育つものです。日本の各地に「お茶」はさまざまに育っていて、そして、あまりにも優秀な農作物なのでほとんどの人が当たり前に思って気にも留めませんがこれは驚くべき事実なのです。

 

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国友さんはこの吾北の山に育ったといいます。お父さんは、林業の会社をされていて、国友さんはお父さんと一緒に山を走り、木々を見て回ったといいます。もともと、地元の農家さんたちは「岸茶(きしちゃ)」という自然に生えてくるお茶を自家用に釜入りにして揉んで飲んでいました。畑の周りの岩を覆って「畑の岸」に生えてくるのでそう呼ぶのです。高知の山にはたくさんの種類のお茶が生えていることを国友さんは小さい頃からの知識として知っていたといいます。

 

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国友さんはもともと薬剤師だったといいます。生物薬学を学び植物にはもともと造詣があったのです。その後は服飾学校へ。アパレルの仕事も経験しました。「ひとつのことに凝り始めると果てしなく時間を費やす変わったタイプ」と国友さんは笑って話します。25年前。国友さんが京阪から高知へ帰ってきたのちお父さんは、病で亡くなりました。

会社経営の遺言は、「お茶をやれ」。

林業や建設業は春先に仕事がなくなるので社員の安定した生活のためには一年を通じてやっていける仕事が必要だったのです。国友さんはそこから膨大な勉強を重ねました。あの「凝り性」が始まったのです。研究・開発は気付けば十年もの期間になっていました。外国に勉強のため渡航したこともあるといいます。そうして国友さんがたどり着いたのは「山茶」でした。

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どんな場所にお茶は生え育つのか。高知県にはお茶の生育に適した「秩父古成層」がありました。南向きの山の斜面で水捌けがよく気流が谷底で舞って霜が降りない場所。
「茶の木がよけえ生えちゅうとこ、見つけたぜよ!」会社の社員が見つけたその理想の場所で山茶は自然に生えていったと国友さんはいいます。庭園のようにしてお客さんに見てもらう形から試作品作りが始まりました。

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秩父古成層

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お茶が本来好んで生えるような場所でなるべく手をかけずに自然に気持ちよく育ってもらう。そうすれば特別な身体にいいお茶ができるだろう。国友さんは有機無農薬のお茶の栽培をそんなふうに考えているといいます。


他にはない土地の特徴の生きたお茶。

この土地にしかできないお茶。

それが国友さんの山茶なのです。

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山茶の木は岩を覆うように実生します。岩の隙間からたっぷりとミネラルを吸い上げて余韻の深い味になっていくのです。お茶のありのままの生命をいただく、その味に驚く人は今でも日々増えていきます。

 

美にこだわる人、食にこだわる人、お茶を愛する人、さまざまな人が集まっていつしか国友農園にはお茶を起点としたコミュニティの輪「茶縁」が生まれたのだそうです。

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お茶はそれだけで終わらないのです。飲み物であるだけではないのです。飲む人から栽培する人、淹れる器、茶道や花道へと繋がりは絶えません。お茶は1200年ほど前に仏教とともに、修行僧を覚醒させるためのものとして日本へやってきたといいます。またその後、荒れた戦乱の武家文化の中でも積極的に受け入れられました。

心をしずめる何かを人はお茶に求めるのかもしれない。そう国友さんは話します。

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その土地に暮らすということ。

ありのままに暮らすということ。
 

土地にはその場所その場所に培われてきた「生きる力」があると国友さんは考えています。都市生活を経て高知へ帰ってきた国友さんはそれを「幸せになれる力」と呼びます。適地に生える山茶は自分の生まれた場所の養分をぐんぐん吸い上げて育っていきます。

「自分が持って生まれたもの、場所を素直に逆らわずに受け入れる。山茶と同じです。そして、個人を超えて過去の先祖から未来の地域の子ども、そしてそこにあり続ける場所。すべてが繋がっていくイメージでそこに暮らすのです。」そんなふうに国友さんはお茶と生きる日々のことを考えています。

国友農園の茶縁に「ありのまま」の輪が広がっていきます。

山茶の深くありのままの変わらぬ味わいをとおして。

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国友農園・国友昭香さんの山茶は

オンラインショップ  7 days laatikko で販売しております。